幸手グルメ情報　we hope to activate our town, satte city, saitama pre.

　玄関先に大きな木の臼が鎮座していました。昔、子供の頃に餅つきをしたあの木臼です。つきたての餅に餡子を絡めて食べた幼き頃の思い出がふっと蘇りました。それを横目に、恐る恐る玄関を開けました。中は、予想以上に、大きい店であることが分かりました。小上がりの席にテーブル席が３脚、既にすべて先客が占めてました。また、４人掛けテーブル席２つも、先客が占めていました。
　私のような一人客は、中央にデンと据えられた大テーブルに座ることになります。丸椅子が１０個ありましたから、混雑時は三々五々この大テーブルのどこかに座ることになるんでしょうね。
　奥の方を覗いてみると、これまた広い畳の部屋が広がっていました。テーブル席が６脚ほどありました。後から入ってきた客が、満杯状態を確認すると、この座敷部屋に流れて行きました。常連客は、既に、和室の利用の仕方もよく心得ているようでした。

　さて、注文です。初めての店なので、「もり」や「かけ」だけでは面白みがありません。一応、９００円の「野菜天」を頼むことにしました。待っている間に、客数をカウントしてみました。ざっと２０人は入っていました。昼時ですから、当然かもしれませんが、ここ幸手あたりで、昼時、同時に２０人も入っている店は、「繁盛店」と言っても差し支えないでしょう。
　そう思ってぐるりと見回してみると、額にオーナーがそば粉を打っている写真や、小学生にそば打ち体験の授業をしている写真などが掲げられていました。生徒たちの寄せ書きなども掲げられています。そば打ちを教えて貰ったお礼の寄せ書きのようです。帰り際に、店の若い店員さんに聞いてみると、「東小学校でそば打ちの授業をした時のものです」と言うではありませんか。東小学校は、学校の統廃合により既にありませんが、こういった出前授業もしている方だったんですね。小学校からそば打ち体験の授業を依頼されるということは、そば名人として、地元で十分に評価の確立している人ということだと思います。

　さて、いよいよ野菜天の到着です。期待に違わず、蕎麦の味は抜群です。いわゆるつなぎを殆ど使っていないように思われます。通常、蕎麦は長～く伸びるものですが、ここの蕎麦、あまり長くありません。最近、食べやすくするために、敢えて短くする蕎麦屋さんがあると聞きますが、まさにそれだと思います。野菜の天ぷらも、カリッと揚がっており、ベチャベチャ感は全くありません。
　７０歳を越すと、美味しく食べられる食事の回数はだんだん残り少なくなってきます。こういうおいしい店で昼ご飯を食べ、夜は仲間とワイワイやりながら、一杯飲む。これこそが長生きのコツだと思います。いい店を見つけました。